外壁のクラック(ひび割れ)をVカット処理をして修繕していきます
今回は、施工時にクラック(ひび割れ)防止処理をしたにもかかわらず、短期間で再度クラックが出てきてしまったため、Vカット処理(※1)でクラックを補修していくと言うメンテナンスになります。
「最初からなんでやらないの?」と、疑問を持たれる方もいるかと思います。
通常は簡易的なクラック処理でも、短期間に自然にヒビが再発することはあまりなく、地震や強風などが起因となる揺れによって、躯体(くたい:※2)の振れ幅が大きい場合にこの様な状態になります。ですので、最初の段階では大きなクラックがない限りVカット処理はあまりしません。
Vカット処理は作業の工程上、ヒビの補修部分の見た目に大きく影響するので、Vカットしなくても収まるのであれば、むやみに壁を傷つける必要もありません。見た目を悪くすることへの懸念、配慮、予算の増大などいろいろあるので、Vカットが良いと一概には言えません。では、どの様な場合にVカットするのが良いのか見ていきましょう。
※1 Vカット処理:壁面のひび割れは、見た目以上に内側が大きく割れていることもあるので、
ヒビ部分に沿ってV型に溝を掘って、シーリング剤を注入し、塗装を施して元の壁面のように直していきます。
※2 躯体:床や壁、梁など建物の骨組み、構造体のこと。
縦横にクラックが入っています。
この部分をグラインダーを使って大きく削り落としていきます。
このぐらいはっきりクラックが入っていると、ひび割れている部分を狙って削れます。
ただ、こちらの写真のように細くなってる場合はあらかじめ、写真のようにクラックのところに線を書いておきます。
こうしておかないとグラインダーで関係のない所を削ってしまいます。
Vカットした状態です。
表面上は小さなひび割れでも、Vカットしてみると結構大きいひび割れの場合があります。
この現場は、その典型的なパターンになります。
ここまで削って、中のクラックの状態を確認出来ると、この建物のこの壁面が何かしらの理由により、揺れが大きく作用してしまっていることを確信できます。
この揺れを、シーリング材の弾力性で緩和することによってひび割れを起こしにくくしていきます。
この写真は、シーリング材の密着を良くするためのプライマーを塗布した状態です。
これをしないと、しっかりと密着してくれない為、下地が濡れ色になるようにしっかりと塗っていきます。
こちらも同様。
ここで、注意する点があります。
Vカットした部分にシーリング材を注入して、へらでならしていくのですが、多少なりとも外側にはみ出してしまいます。
そこで、はみ出る分も予想して、外壁面にも多めにプライマーを塗布しておかなければいけません。
全体的な写真になりますが、シーリングが終わった状態です。
表面上に出ていたクラックを削りながら進んでいくと、このぐらい行ってしまいます。
更に細かいクラックを拾っていってしまうと、壁を全部落としたほうが、という話になってしまいます。
そうなると、いろいろと話がかわってきてしまうので、ここまでとしました。
この写真は、シール処理後に、外壁のパターン付けの写真です。
シーリング処理した状態で、外壁の色を塗ってもいいのですが、シーリング面が平らになってしまっている為、周りに似たように凸凹を付けていきます。
近くで見るとこんな感じになります。
このパターン付けをしないと、遠くから見てもひび割れの跡がくっきり見えてしまいます。
ここまでしてからやっと上塗りをしていきます。
上塗りをした状態です。
前回塗装してから時間が経過している為、同じ色を塗っているのですが、色の違いが多少出てしまいました。
ただ、これを調色して色を合わせるとなるとなかなか難しく、また調色した場合、例え色が合っても、時間とともに色の変化(日焼けや汚れ)の仕方が変わってしまい、数年後に全然違う色になってしまうケースもあるため、今回はこれで収めることとしました。