トップ防水、1PLY防水、2PLY防水、違いって?:市川市塩焼
今回のご依頼頂いたのはベランダ防水工事でした。
既存の防水もFRP防水でしたが、トップコートが細かくひび割れが生じ、剥がれてしまっている状態でした。
費用を抑えるのであれば、トップコートを上塗りすることで施工完了にもできるのですが、現状のガタガタの表面の上に塗装するだけですので、現状のひび割れやデコボコが残る汚い色付けだけの仕上がりが予想できるので、一旦既存の床面をキレイにしてからのFRPを1PLY(ワンプライ)施す防水工事をお勧めしました。
FRP防水とは
FRP防水はガラス繊維でできたマットをポリエステル樹脂で固めて防水層にする防水工法です。
このマットの積層枚数を○PLY(プライ)とあらわします。1PLYというのはこのマットを1枚で防水層とするという意味。2PLYは1枚樹脂で固めたらその上にもう1枚やる、つまりマット2枚積層するということです。
因みに3PLY以上は対費用効果の面から無駄ということでありません。間違ってほしくないのは、1PLY=手抜きではないということです。各メーカーでも1PLYの仕様は出ています。詳しく書くと、ガラスマットにも2種類があります。いわゆるサンパチマット(#380)とヨンゴーマット(#450)です。簡単に言いますとガラス繊維の密度の違いで、380より450の方が、密度が高いマットです。
2PLY工法には#380マットを2枚積層するのですが、1PLYの場合には#450のマットを1枚張る仕様で出ています。ただですね、僕もFRP防水をやっていますが、1PLYではやりません。防水工事というのは責任施工ですので、新築では10年保証しなくてはいけません。
メーカーで仕様として出している以上、きちんと試験をして大丈夫だとは思うのですが、試験場と実際の現場では少し違うと思うからです。その辺は経験測で危ない橋は渡りたくないというところでしょうか。。因みにFRP防水ではRC下地の380マット2PLYのみJASS8(建築工事標準仕様書)の標準仕様に採用されています。
施工中写真
<施工前>FRP防水のトップが、ひび割れています。爪でひっかくとポロポロ剥がれてくる状態でした。
<施工前>防水的には問題ないので、このままトップコートを重ね塗りで仕上げることは可能ですが、仕上がりは、ひび割れ跡がくっきりと残ってしまいます。また、ささくれ立っている箇所は、密着していないので、数年で剥離してきます。
<ケレン>グラインダーを使い、カップワイヤーでケレンします。
剥がせる所はすべて剥がし、密着度を高めます。
<ケレン>浮き箇所等ケレン後清掃します。
<カチオン塗布>ケレン終了後、残ったトップコートが剥離しないようにカチオンで固める処理方法で、施工しました。
<カチオン塗布>モルタル樹脂なので、左官仕上げしたように平らに仕上げていきます。
<カチオン塗布>室外機の下にも塗布しこの後施工するガラスマットとエポキシ樹脂の密着度を高める作業です。
<ガラスマット敷>
床全面にガラスマットを敷きます。
このガラスマットが1層だと1PLYと言い、2層重ねると2PLYと言います。新築時は、2PLYで施工してあるのが一般的です。
<ガラスマット敷>室外機の下にも馬を使い持ち上げてから、ガラスマットを敷き込みます。
<エポキシ樹脂塗布>
ガラスマットの上にエポキシ樹脂を塗布していきます。
このエポキシ樹脂が固まりプラスチックの防水層を形成します。
<エポキシ樹脂塗布>
エポキシ樹脂を塗布後、ガラスマットにバルーンが残るので、プラスチックローラーで、空気を抜きながら密着させていきます。
<空気抜き用(押さえ用)ローラー>
FRP防水は、エポキシ樹脂を固めて防水層を作りますが、樹脂だけだと容易に剥離してしまいます。
そこで、ガラス繊維を強化繊維として、密着度と強度を強めたプラスチック防水です。
<トップコート>
エポキシ塗布時の赤褐色の床面は、エポキシ樹脂が乾燥し、グリーン掛かった透明色になりました。
この床面にトップコートを塗布していきます。
<トップコート>
一般的にトップ(コート)防水と言われる防水工事がこの工程です。
実際、トップコートには防水の機能はありません。
お考えの方はご注意ください!
施工完了
以上で、FRPの1PLY防水工事は終了です。
ケレン→1PLYまたは2PLYの防水施工をしない「トップ防水」だけでは、防水効果が高くないという事はおわかり頂けたと思いますが、決してダメな方法という訳ではありません。
防水をメインということであれば、少なくとも1PLY防水をお勧めします。
FRPが割れていないけど表面の汚れがひどいからという理由で、色付けをするための「トップ防水」をしようという場合は安価でできますので、その際はご相談下さい。