FRP防水の施工不具合による雨漏り修理について
雨漏りがおこる場所として思いつくのはどこでしょうか。屋根、サッシ廻り、壁面のクラック等、色々と思いつく箇所がありますが、屋根と同様に雨漏りの可能性の高いのがベランダです。
そもそも一口にベランダの防水処理といっても、ウレタン防水、FRP防水、シート防水の大きく分けて3つに分けられ、今回はその中でも建売のお宅で最も多いFRP防水によくある不具合について説明いたします。
初期の不具合の対処方法としては、表面の塗装膜をアセトンで拭きとり、研磨〜トップコート塗布で治りますが、傷み具合がひどい場合は下地からやり直す必要があり、思わぬ大きな出費につながってしまう事もあります。
ベランダの防水には定期的な点検が必要になります。そもそもベランダの塗装が傷んでいるという事も、一般の方には分かりづらいということで、画像にて簡単に説明させていただきます。
とあるお宅の築10年が経過したベランダ防水面になります。
左側に塗装剥がれによるガラス樹脂の面(木のように見える箇所)が確認できます。
これは分かりやすい事例ですが、この案件はさらに、水切り(壁と床との境目にある板金部分)の立ち上がり部分の末端まで、しっかりと防水処理がされていませんでした。
晴天時は大丈夫だとしても、積雪、大雨、台風などの際に下端からの雨水が染みこんで、雨漏りになるなんて事もあります。
ベランダ防水面でもっとも雨漏りが疑われる場所と言えば「ドレーン(排水口)」。
僕ら業界人の中で常に雨漏りの可能性が疑われる場所です。
この事例ではドレーン廻りの防水面がオーバーフロー(水があふれる)により雨漏りが発生し、防水面が一部浮いていました。原因として推測されるのは、泥・ゴミ等がたまりオーバーフローを引き起こしたのかと思われます。
ドレーン廻りの防水がしっかり施工されていないと、今は大丈夫でも大雨などの際に漏水を引き起こすこともあります。
以上、2例をご紹介しました。最近は、ご自身でホームセンター等で売られている防水材にて修理される方もいらっしゃいますが、上手くいくのは稀で、余計に費用が掛かってしまう事もよくあります。
不具合を発見された際は、すぐに業者にご相談されるのが経験上一番安上がりかと思っています。
最後に一点、ベランダの掃き掃除をする時は、ドレーンには絶対にゴミを掃かないでください。詰まりの原因にもなり、オーバーフローを起こす可能性が高まりますのでご注意を。
自分の家のベランダは大丈夫かどうか気になる方へ。弊社はお見積り・建物診断など無料で行っておりますので、ぜひお気軽にご連絡頂ければと思います。
<ちなみに・・・>
FRP防水は、施工性・強度・防水性に優れた防水処理方法の一つになっていますが、歴史自体はまだ日が浅く、技能検定が設定されたのも2001年。2008年に日本建築学会の建築工事標準仕様のJASS8防水工事(防水工事の規格)に採用されたばかりです。
初期に施工された築10年〜15年のお宅では、トップコート(一番上の塗装膜)の剥がれや、ドレーン(排水口)廻りのオーバーフロー、ガラス樹脂(下地)からのハガレ等、不具合が見られる事があります。