木部洗い工事を行いました:千葉県船橋市西習志野
従来、日本の木造建築は無垢の木をふんだんに使用した造りでした。年数を経るたびに多くの紫外線を浴びて木部独特のしみ込んだ汚れが出てきます。風情は増しますがそんな汚れを取り除く「あく洗い」と呼ばれる作業を行いましたのでご紹介します。
ずっしりと存在感のあるまさに日本家屋という造りです。築年数を重ねた重厚感がありますね。
今回弊社への御依頼は木部洗いのみの工事でしたので足場は架けられた状態で乗り込みとなります。木部洗いでこれだけのボリュームの案件はなかなか無いので仕上がりが楽しみです。
「木部洗い」とは言ってもただ水で洗浄するだけでは綺麗にならないので
・灰汁洗い・シミ抜き・漂白・木部保護
等、汚れの質に応じて数種類の薬品を使い分けて綺麗にしていきます。
灰汁洗い作業(薬品名:アクロンAB)
刷毛でも施工できますが今回は噴霧器で施工していきます。水で数倍に薄めて使用します。濃度が高いほうが効果はありますがその分、木肌が傷みやすくなってしますので状態を見極めながら判断が必要です。
灰汁洗い作業(水洗浄)
アクロンABを塗布後、時間をおいて水で流していきます。この時点で汚れを残したままにすると後々まで残ってしまうので要注意です。
シミ抜き(薬品名:レブライト)
刷毛で施工します。ちなみに今回使う薬品は医薬用外毒物なのでマスク・手袋が必要です。薬品が中和する際にガスが発生します。
漂白(薬品名:ノーベルAB)
刷毛で施工します。塗り残しが無いように細部までしっかり塗り込みます。
修正洗い・点検
薬剤を塗布すると地肌が毛羽立ってくるのでそういった箇所をペーパーで繰り返し研磨します。
上記工程後、木部保護塗料(薬品名:木肌美人)を塗布して完了となります。木肌美人(白木用浸透性保護剤・防汚剤) は、塗るだけで白木の美しさを日焼け・ 風化・劣化から守ります
今回は多岐に渡る部位を施工させて頂いています。
軒裏・垂木
面格子
戸袋・雨戸一筋
建具
冠木門(上部)
冠木門(下部)
※右の扉は施工前です。
玄関(桁・意匠木格子)
全体はこんな感じに仕上がりました。
施工前の黒ずんでいた木部。歴史を感じる雰囲気でしたが白木が息をふき返します・・・
弊社での木部洗い作業が終了後、左官業者様に引き継ぎとなります。木部が復活したので掻き落としの外壁が綺麗になれば見違える仕上がりになること間違いなしです。
こういった伝統建築を維持していくことは簡単な事ではないですが後世に引き継ぐ大切な財産だと思います。